電車が出発します。見慣れた街から、見慣れた街へ、僕らを乗せて。毎日の慣習というものは、時として些少な変化を見逃しがちでありまして。途中の駅の駅前にビルができたとか、長く行なわれていた工事が終わったとか。結局は自分の益ならぬことに、人は頓着が無いのだと思います。とは言うものの、益ばかり見つめていても、楽しいことばかりなどではなく、むしろ、とても淋しい人間になりかねないのではないかと思います。僕は、人をして無駄と言われるようなことに目を向けたいと思いました。