過去のことを幾ら後悔したところで、その人が戻ることは、ない。わかっているけれど、心だけが疼く。早くも数年が経過するも、心の傷は癒えないままである。決して、後ろ向きになっているわけではない。ただ、今日、この日だけでも、過去に遡りたいと願うのは我侭な願いなのだろうか。風は、穏やかに頬を撫で、捧げた花が揺れる。煙はすぐさま風に巻かれ、どこかへ行ってしまった。私は、言葉を発することなく、彼の前から立ち上がり、もと来た道を引き返した。涙は流すまいと、決めていた。